ふくよかなうま味がある
食米だからこそ出せる魅力のある日本酒
「徳川の華 純米大吟醸」とは
少し前の記事にある「二兎Thema」と同じ丸石醸造の、二兎とは別の杜氏さんが担当している銘柄。
二兎とは違って一般流通している銘柄で、愛知県内ならばチェーン展開している酒屋さんでも見かけます。
蔵元さんで聞いた話では、原料米に「大地の風」という食米を使用しているとのこと。
三河地方の学校給食にも使用されている低農薬栽培のお米で、粘りのあるモチモチした食感とさっぱりとした味が特徴です。
食米は酒米に比べれば原価が抑えられるので、純米大吟醸でありながら1300円くらいのお手頃価格で買えるのは嬉しいところ。
「徳川の華」ラベル情報
特定名称:純米大吟醸
原料米:国産米(大地の風) 精米歩合:48%
アルコール度数:15度 製造年月:2017.07
蔵元情報
丸石醸造株式会社 所在地:愛知県岡崎市中町6-2-5
徳川家康の産まれた岡崎城のすぐ近くにある酒蔵さんで、酒造じゃなく醸造なのは昔は醤油なんかの醸造製品も造っていました。現在はメディアで有名な「二兎」、復刻酒米 萬歳を全良使用した「萬歳」、基幹ブランドの「三河武士」と上級グレード「徳川家康」を造っています。他にも酒蔵が造る果実酒「魅惑の〜」シリーズがあります。蔵でのイベントも盛んなので、岡崎観光がてら蔵元見学もありです。
レビュー 唎酒日:2018/09/11
色合い 熟成がうかがえる山吹色
ほのかに山吹色に色づいていて、うすく濁っています。
製造年月から1年以上低温熟成させていたので、本来はもっと色の付いていない澄んだ色のはず。
香り 花の香りの中に熟成香のただよう
花のような華やかな香りと、低温貯蔵による熟成の進んだ濃厚な甘く艶やかな香りが同居しています。
フーゼル油の匂いも僅かにします。
味わい 食米ならではのふくよかなうま味がある
口に入れた時から酸味を感じますが嫌な感じはなく、後からくる甘みと旨味をしっかりと感じさせます。
呑み下す刺激はありますが不快感はありません。
飲んだ後の後味はあっさりとした酸味と、ほのかな苦味。
温度での違い
冷酒
やさしい酸味とやわらかい甘みがあり、ふくよかな旨味を感じます。
喉を通るときに軽く刺激がありますが心地よく、後味は甘みのあるやわらかな酸味と苦味。
グラス(冷酒)
酸味が抑えられ甘みが少し強く、うま味が口全体に広がるように感じます。
どちらも優劣つけがたいのですが、ほかの温度に比べて冷酒で呑むのがベストな気もします。
冷や酒(常温)
冷酒に比べると香りはとても弱くなります。
酸味がほんの僅かに強くなって甘みは弱くなったと感じますが、とても落ち着いた味わいに変化しています。
呑み下すときの刺激に酸味を感じで、後味にの酸味も少し強くなっています。
お燗(ぬる燗40℃前後)
冷やよりも甘く華やかな香りがします。
舌先にビリリとした酸味を感じますが、じんわりと広がる旨味があります。
呑み下す刺激は若干強めですが、後味に僅かな収斂味とうま味が残ります。
冷酒がベストと言いましたが、肌寒くなる時期にぬる燗で呑むと美味しさがじんわりと身にしみるのでアリです。
燗冷まし
酸味は残りますが、甘みが強くなって旨味の深さも増したように感じます。
呑み下す時の刺激は冷や酒よりも弱く、ほかの温度に比べ後味に甘みとうま味を強く感じます。
呑むペースがゆっくりで燗冷ましになっても大丈夫な呑みやすさです。
総評 なにかひとこと
食米は酒米に比べて米の中心部にタンパク質やアミノ酸が多いとされていて、それが「雑味になるか・旨さに昇華できるか」は杜氏の腕の見せどころである。と言うのがキヘボンの勝手な持論です。
それを踏まえてた徳川の華の感想は、うま味があってもスッキリと呑みやすく食米の良さをとらえて丁寧に造られている印象です。
低温貯蔵でも熟成が進んでいるので、どちらかと言えば柔らかい酒質なのかな。
このお酒に合わせる肴は迷ったのですが、ふと「同じ土地の食材が会うのでは?」と思い、物は試しと家にあった「八丁味噌」を舐めてみたらめっちゃ合う!!
これは八丁味噌を使った料理に合わせるのがベストです。
味噌田楽でも、味噌煮込みでも、味噌汁でも構いません。とにかく八丁味噌をたっぷり使用した料理と合わせてください。徳川の華と八丁味噌が相乗効果でどっちも美味しくなります。
あすすめ度
初心者 ★★★☆☆
愛知に住んでる人限定であれば星4のおすすめですが、冷酒に限ります。県外の人だと限定流通のお酒よりも手に入りにくいので、愛知県にきたとき見かけたら飲んで見るのもありです。
中級者 ★★★★☆
呑みやすく旨味もあるお酒なので、愛知の三河に行く機会があったなら是非八丁味噌と合わせてご賞味ください。
上級者 ★★★★☆
大地の風という食米を使用した日本酒として一度は味わっていただきたい。山田錦や美山錦、雄町と行った酒造好適米にはない味わいのあるお酒です。
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